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UV-K1の高調波スプリアス特性と外付けフィルターによる対策

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QuanshengのUV-K1を購入しました.UV-K5の後継機とも言われています.CPUがUV-K5(オリジナルヴァージョン)とは異なっていてUV-K5 ver3と同じだそうです.UV-K5のファームウェアの改造を行っているF4HWNのgithubには 内部構造の解析 やUV-K1やUV-K5 ver3に対応した カスタムファームウェア が公開されています.送信回路の構成もUV-K5とあまり変わらず,VHF帯とUHF帯はLPFだけを切り替えていて,最近のBaofengUV-5Rのように独立した2系統にはなっていないようです.スプリアス特性についても facebookに Nicholas Petreley さんの報告 がありますが,日本の新スプリアス規格は満たしてなさそうです.しかし,実際はどうなのか私も測定してみました.UV-K1(8)はAliexpressで購入しました. UV-K1(8) 測定はTinySA Ultraを使用しました.入力前に60dBのアッテネーターを挿入しています. UV-K1 145MHz送信時の高調波スペクトル(TinySA Ultra + 60dB ATT) 145MHzで送信し,60dBのアッテネーターを通過させたのちにTinySA Ultraに入力しています.この場合,第2高調波(290MHz)が-48dBc程度出ており,残念ながら新スプリアス規定(-60dBc未満)を満たしていません.第3高調波(435MHz)は-62dBc程度なので,新スプリアス規定(-60dBc未満)をギリギリ満たしています(機器によるばらつきもあるかも知れません).その上の領域も大丈夫そうです.第2高調波はUV-K5と同程度ですが,第3高調波は減少していますのでLPFの特性を少し変更していると思われます. 次は433MHzです. UV-K1 433MHz送信時の高調波スペクトル(TinySA Ultra + 60dB ATT) この場合,第2高調波(866MHz)が-48dBc程度,第3高調波(1.3GHz)が-45dBc程度出ており,残念ながら新スプリアス規定(-60dBc未満)を満たしていません.その上の第6高調波(2.6GHz)も少し不安です. 433MHz送信時の 高調波スプリアス特性 については UV-K5と同程度と思われます. 結論として,UV-...

C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5(改造版)の製作

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 KD8CECファームウェアやFirmware-IJVはCW, FT8などの多くの機能を有していますが,実際に使おうと思うと インターフェースを作る 必要があります.” Ham Radio All-in-one-Cable;  AIOC ” https://github.com/skuep/AIOC  は市販品もあるのでこれを購入することも可能です.また,この基板を発注して作製しても良いでしょう.ここでは,”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”を少し改造して製作し,別のファームウェアを作って”AIOC”代わりの通信インターフェイスにもすることを目論みました. KD8CECのファームウェア用インターフェース の製作 FT8はKD8CECのファームウェアver. 0.3で送受信がサポートされています.”AIOC”が使えますが,KD8CECが開発している”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”を製作し,ファームウェアを作れば”AIOC”代わりの通信インターフェイスにもできそうです. ”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”については,最近のOrganisasi Amatir Radio Indonesia (ORARI) (Indonesian Amateur Radio Organization)における”DIY APRS Tracker menggunakan HT UV-K5/K6”なる記事 https://orari.or.id/diy-aprs-tracker-menggunakan-ht-uv-k5-k6/ でも,紹介されており,KD8CECの作ったファームウェアもダウンロードできるようになっています. Firmware-IJV用インターフェースの製作 Firmware-IJVでは,DSB送受信がサポートされています.これにも”AIOC”が使用可能です.”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”を改造し,PCのスピーカー出力をUV-K5のマイク入力に接続する回路を追加すれば,”AIOC”もどきとして使えそうです.”AIOC”はAndroidスマートフォンでFT8CNを使う際に少し問題になります(aioc-utilを使って設定変更を行えば使えそうで...

RT-4Dの高調波スプリアス特性と外付けLPF

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 最近 RadtelのRT-4Dを購入しました.安値で買えるDMRトランシーバです.日本版のRT-4DJUは435MHz帯についてJARD保証可能機器リストにも載っています.145 MHz帯はJARD保証可能とはなっていません(送信不能にしている?).このため,オリジナル版は435MHz帯のスプリアス特性は新スプリアス規定を満たしているものの,145MHz帯は新スプリアス規定を満たしていないのではと考えられます.実際に測定された方々もおられ,その対策も公表されています(例えば, みずみずじいのブログ や 春日井デジタル無線研究会 ).残念なことに145MHzで送信したときに第3高調波(435MHz)が出ているので435MHzトラップが必要となり,435MHz帯との外付けフィルターの共用は出来ません.春日井デジタル無線研究会のものはスイッチを付けて,435MHz帯使用時にはトラップを切り離すようになっています. そこで,私もTinySA Ultraを使用して高調波スペクトルを測定して見ました. RT-4D  145MHz送信時の高調波スペクトル(TinySA Ultra + 60dB ATT) 145MHzで送信し,60dBのアッテネーターを通過させたのちにTinySA Ultraに入力しています.この場合,これまでの報告と同様に第2高調波(290MHz)が-59dBc程度,第3高調波(435MHz)が-56dBc程度出ており,残念ながら新スプリアス規定(-60dBc未満)を満たしていませんでした.しかし,あと-5dbほど下げればOKなのでハードルは高くありません.JH4VAJさんのLPFを付ければ新スプリアス規定を余裕でクリアできますし,みずみずじいさんのブログの290MHz+435MHzのダブルトラップや春日井デジタル無線研究会の435MHzトラップでも,クリア出来ているようです. 次の図では433MHzで送信し,60dBのアッテネーターを通過させたのちにTinySA Ultraに入力しています.この場合,JARD保証可能機器リストにも載っている通り,高調波スペクトルは綺麗で,新スプリアス規定(-60dBc未満)を満たしています. RT-4D  433MHz送信時の高調波スペクトル(TinySA Ultra + 60dB ATT) 外付...

UV-K5用FT8およびCWインターフェイスの製作

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 UV-K5でのFT8運用について 別ブログ で書きました.KD8CECファームウェアやFirmware-IJVはCW, FT8などの多くの機能を有していますが,実際に使おうと思うとインターフェースケーブルを作る必要があります.” Ham Radio All-in-one-Cable;  AIOC” https://github.com/skuep/AIOC  は市販もあるのでこれを購入することも可能です."AIOC"はガーバーファイルが公開されており,JLCPCBで作製をすることも可能です.ここでは,もう少し簡便に作って見ました(基板をJLCPCBで作製しました). KD8CECのファームウェア用インターフェース FT8はKD8CECのファームウェアver. 0.3で送受信がサポートされています.実際にFT8通信を行うには http://www.hamskey.com/2024/01/introducing-uv-k5-version-01p-cw.html に記載されているデータケーブルの改造(プログラミングケーブルに3.5mmのスピーカー出力端子をつけたもの)を行う必要があります.または,” Ham Radio All-in-one-Cable;  AIOC”を使用します.”AIOC”はUSBシリアル通信をサポートしつつ,スピーカーとマイクの出入力をUSB AudioでPCに接続しますので,これ一本でPCを使ったFT8通信が可能となります.あるいは,KD8CECがUV-K5単体でFT8通信を行うために開発している”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”を製作し,ファームウェアを別に作れば”AIOC”代わりの通信インターフェイスにもできそうです. ”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”については,最近のOrganisasi Amatir Radio Indonesia (ORARI) (Indonesian Amateur Radio Organization)における”DIY APRS Tracker menggunakan HT UV-K5/K6”なる記事 https://orari.or.id/diy-aprs-tracker-menggunakan-ht-uv-k5-k6...

UV-K5でのFT8運用

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FT8通信をサポートしたUV-K5用のファームウェアとしては,KD8CEC 0.3vとFirmware-IVJとがあります.すでにUV-K5の旬は過ている感はありますが,ここでは,UV-K5でのFT8運用について調べた結果をメモします. KD8CECのファームウェア は,CW, SSTV,APRS,FT8などの多くの機能を有しています.残念ながら,2024年6月以降は新しいヴァージョンは発表されていませんが,スタンドアロンでもFT8受信が可能となっています(追加のハードウェアが必要).  KD8CECは,blog  http://www.hamskey.com/ にて,ファームウェア0.3v  http://www.hamskey.com/2024/05/introducing-uv-k5-version-03q-stable.html を用いたFT8とCWでの運用について説明しています.また同氏のyoutubeチャンネル https://www.youtube.com/@ianlee3061  にさまざまな動画をアップしています. FT8  FT8は送受信がサポートされています.UV-K5ファームウェアver. 0.3vでFT8を行う方法は, http://www.hamskey.com/2024/05/introducing-uv-k5-version-03q-stable.html  に書かれています. ハードウエアとしては http://www.hamskey.com/2024/03/introducing-uv-k5-version-03c-added.html  に記載されているデータケーブルの改造(プログラミングケーブルに3.5mmのスピーカー出力端子をつけたもの)を行う必要があります.USB端子を接続するとともにスピーカー出力端子をPCのマイク端子に接続しています.少し強引な改造ですが,一般に売られているプログラミングケーブルではスピーカー出力端子にリード線が接続されていないので,やむを得ません.他の方法として,” Ham Radio All-in-one-Cable;  AIOC ” https://github.com/skuep/AIOC  を使用する方法もあります.”AIOC...

UV-5R Miniの高調波スプリアス特性とその対策

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最近BaofengのUV-5R Miniを購入しました.カラー液晶が見やすい小型機で高調波スプリアス特性についてもいくつか報告があり,435MHz帯は大丈夫のようです.一方,145MHz帯は新スプリアス規定を満たしていないようで外部LPFが必要とのことです. そこで,TinySA Ultraを使用して高調波スペクトルを測定して見ました. UV-5R Mini 145MHz送信時の高調波スペクトル(TinySA Ultra + 60dB ATT) 145MHzで送信し,60dBのアッテネーターを通過させたのちにTinySA Ultraに入力しています.この場合,これまでにも言われているように第2高調波(290MHz)が-55dBc程度出ており,残念ながら新スプリアス規定(-60dBc未満)を満たしていませんでした.しかし,あと-5dbほど下げればOKなのでハードルは高くありません.JH4VAJさんのLPFを付ければ余裕で新スプリアス規定をクリアできると思います.後でも出てきますが,幸いなことに第3高調波(435MHz)は出ていません. 次は433MHzで送信し,60dBのアッテネーターを通過させたのちにTinySA Ultraに入力しています.この場合,高調波スペクトルは綺麗で,新スプリアス規定(-60dBc未満)を満たしています. UV-5R Mini 433MHz送信時の高調波スペクトル(TinySA Ultra + 60dB ATT) 145MHz帯で運用するときにはLPFを付けて,435MHz帯ではLPF無しで運用するスタイルで大丈夫です.前出のように145MHzでの高調波成分は第2高調波(290MHz)だけで第3高調波(435MHz)は出ていないなので,290MHzのBSP(バンドストップフィルター)を付けっぱなしにして両バンドで運用する方法もあります.5dbの減衰で良いので1poleで十分だと思います.出力回路に直列にLC並列共振回路を入れるか,並列にLC直列共振回路を入れるかのどちらかですが,今回は前者としました.回路は以下のようになります. UV-5R Mini 用290MHz バンドストップフィルター JLCPCB用のガーバーファイルは" BSF-s290_garber.zip "です. コイルは0.7mmの銅線を内径3.5mmで...

スプリアス特性が良くなった最近のBaofeng UV-5R(2024)の送信系統図

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以前に最近のBaofeng UV-5R(2024)のスプリアス特性の測定をしました. https://je1rav.blogspot.com/2024/10/baofeng-uv-5r2024.html 保証認定を受けようかなと思って,最近になって分解して中身を調べたのでここに示します. 分解方法はJH4VAJさんが詳しく書かれていますので,それに従って分解しました. https://www.jh4vaj.com/archives/17690 2020年のJH4VAJさんの記事では,「ファイナルトランジスタが違った」のタイトルで,それまでのものとはファイナルトランジスタが変わったことが示されていました. 今回分解したのは,ブログでスプリアス特性を測定したBaofeng UV-5Rです.基板写真を以下に示します. JH4VAJさんが調べられた2020年の物とは大きく変わっています.最大の変化は,トランシーバーIC以降の送信部分がVHFとUHFで完全に分離されている点です.バッファーアンプ,ドライブアンプ,パワーアンプ,LPFが2系統ついています.また,それぞれのバンドのLPFに使われているコイルの数も増えており,段数が増加していると思われます.この送信用アンプの分離とLPFの段数の増加で,高調波スプリアスが抑えられていたようです. ちなみに送信系統図は以下になります.