UV-K5用FT8およびCWインターフェイスの製作

 UV-K5でのFT8運用について別ブログで書きました.KD8CECファームウェアやFirmware-IJVはCW, FT8などの多くの機能を有していますが,実際に使おうと思うとインターフェースケーブルを作る必要があります.”Ham Radio All-in-one-Cable; AIOC”https://github.com/skuep/AIOC は市販もあるのでこれを購入することも可能です."AIOC"はガーバーファイルが公開されており,JLCPCBで作製をすることも可能です.ここでは,もう少し簡便に作って見ました(基板をJLCPCBで作製しました).

KD8CECのファームウェア用インターフェース

FT8はKD8CECのファームウェアver. 0.3で送受信がサポートされています.実際にFT8通信を行うにはhttp://www.hamskey.com/2024/01/introducing-uv-k5-version-01p-cw.htmlに記載されているデータケーブルの改造(プログラミングケーブルに3.5mmのスピーカー出力端子をつけたもの)を行う必要があります.または,”Ham Radio All-in-one-Cable; AIOC”を使用します.”AIOC”はUSBシリアル通信をサポートしつつ,スピーカーとマイクの出入力をUSB AudioでPCに接続しますので,これ一本でPCを使ったFT8通信が可能となります.あるいは,KD8CECがUV-K5単体でFT8通信を行うために開発している”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”を製作し,ファームウェアを別に作れば”AIOC”代わりの通信インターフェイスにもできそうです.

”C-BOARD (DSP-Board) for UV-K5”については,最近のOrganisasi Amatir Radio Indonesia (ORARI) (Indonesian Amateur Radio Organization)における”DIY APRS Tracker menggunakan HT UV-K5/K6”なる記事https://orari.or.id/diy-aprs-tracker-menggunakan-ht-uv-k5-k6/でも紹介されており,KD8CECの作ったファームウェアもダウンロードできるようになっています.

Firmware-IJV用インターフェース

Firmware-IJVでは,DSB送受信がサポートされています.実際にWSJT-XなどでFT8信号をマイク入力すると,SSB送信機の場合とは異なりUSB側とLSB側の両方に信号が現れます.USB側を受信すれば通常のFT8信号として受信できます.一方,LSB側にも送信されますので送信時の帯域幅が増大してしまいます.マイク入力なので,UV-K5のスピーカー出力をPCのマイク入力に,PCのスピーカー出力をUV-K5のマイク入力に接続するケーブルを作る必要があります.UV-K5の場合にはスケルチが開いて信号受信しているときにVOXが使えないので,送信時にはPTTスイッチを押す必要があります.このための送受切り替えインターフェイスも必要です.また,上記の”AIOC”も使用することも出来ます.

データケーブル改造用基板

データケーブルを改造することも可能ですが,今回はAIOCのピンの取り出し方を参考にしてインターフェース基板をJLCPCBで基板作製しました.PCによるCW運用時やFirmware-IJVでのFT8運用などで送受切り替えも行いたいので,回路図は以下のようになります.

KD8CECファームウェアとFirmware-IJVで使えるようになっています.音響信号は3.5mmの4極コネクタから入出力し,4極ケーブルでPCなどのオーディオ端子に接続します.シリアル通信はUSB-シリアル変換モジュールで行いました.回路中のスイッチはデータ通信(KD8CECファームウェア上でのFT8運用時,およびプログラミング時)とPTT(CW)の切り替え用です.p-MOSFET(Q1)と抵抗(R1)はKD8CECファームウェアでのCWキーイング用です.n-MOSFET(Q2,Q3)と抵抗(R2)はPTT用です.PTT(CW)はDTR信号で作動します.DTR信号はONで0V, OFFで3.3Vなので,DTR-ON時にCEC側は10kΩを通じてVccがかかるように,normal PTT側はGNDに落ちるようになっています.

3.5mm/2.5mmピンジャックとUSB-シリアル変換モジュール(今回はCP2102モジュールを使用しました;モジュールによってピン配列が違っているので注意が必要です)はAliexpressで購入しました.3.5mm4極コネクタ(MJ-4PP-9),スライドスイッチ,FETは秋月電子で購入しました.

JLCPCB用のガーバーファイルは"UVK5-interface_garbar.zip"です.

完成写真は以下のようになりました.


UV-K5との接続用のピンジャックの取り付けは”AIOC”を参考にしています.3.5mmジャックと2.5mmジャックを本体に挿して位置を決め,そのままハンダ付します.

オーディオ側は3.5mmの4極コネクタケーブルで接続します.

デジタル側はUSB typeCケーブルでで接続します.基板の縦向きのスイッチをDig.側にすると,USB-シリアル変換モジュールからのデータ通信信号がUV-K5につながります.この位置でFirmwareの書き込みも可能です.KD8CECファームウェア上でのFT8運用もこちら側になります.

縦向きスイッチをPTT側にすると, 送受信切り替えをPCから行えます.この場合には横向きのスイッチも設定する必要があり,横向きスイッチをCEC側にするとKD8CECファームウェア上でのPCによるCW運用が可能になり,横向きスイッチもPTT側にすると外部PTTスイッチをPCで制御するようになり,Firmware-IJV上でのFT8およびCW運用が可能になります.PC側は,送受切り替えをこのボードのCOMポートのDTRピンを使うように設定して下さい.横向きスイッチをPTTにセットし,PCに繋がない状態でUV-K5に接続すると送信状態になるのでご注意ください.

Firmware-IJV上でAndroidのFT8CNで使用する場合には,両方のスイッチをPTT側にし,FT8CNでの送受切り替え設定ではDTRピンを使って下さい.スマートフォンにイヤフォンジャックが無く,USB-Cのみの場合にはUSBハブとUSBオーディオインターフェイスが必要になります.”AIOC”はUSBオーディオ+USBシリアルの複合デバイスなのでUSBケーブル一本で使用できそうなのですが,現状ではUSBオーディオは使えるもののFT8CN(Android?)がシリアルインターフェイスを自動認識してくれません("Serial USB Terminal"などを使えば,シリアル通信自体は出来ます).送受信の切り替えには”aioc-util”などで”AIOC”のPTTの設定を変える必要がありそうです.


追記(2025年11月13日)Androidの3.5mmイヤフォンマイク端子への対応

上記の回路ではAndroidの3.5mmイヤフォンジャックに挿したときに,うまく認識されませんでした.以下のように抵抗2本を追加する必要がありました.


回路図は以下のようになります(オーディオジャックの下のR3とR4を追加).
Androidスマートフォンに対してスピーカーとマイクが繋がっているように見せかけるために抵抗1本ずつを挿入しています.これらの抵抗を付ければ,差し込んだときスピーカーマイクとして認識し,自動的に入出力が切り替わってくれました.これらの抵抗を挿入しても,PCやUSBオーディオインターフェイスでは問題なく使えます.ちなみに修正したJLCPCB用のガーバーファイルは"UVK5-interface-android_garbar.zip"です.送信時の回り込みなどで,Androidスマートフォンのヘッドセット端子のスイッチ制御がかってに反応することもあるようで,むしろUSBハブ+USBオーディオインターフェイスの方が安定に動くかもしれません.

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